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B110サニー最後の
       マイナーツーリングレース 1982.10.24
土曜日の午後1時30分から絶好のコンディションで予選が行われた。前回は台風18号の影響をまともに受けて豪雨のなか恐怖のレースが行われ、和田孝夫の蹴るアドバン・サニーが序盤の混戦を切り抜けて優勝。
シリーズ・ポイントのうえでは35ポイントの和田が萩原を1ポイントリード。29ポイントで越野がこれを追う。従ってシリーズ・チャンピオンはこの3者によって争われることになったといってもよい。
予選の結果、ポールポジションを得たのは渋谷栄治で1分31秒75.2番手は1分31秒86をマークした萩原 光。この2者だけが31秒台をマーク。3番手の和田孝夫以降は32秒台で大場次雄、杉崎直司、武藤文雄、都平健二と続く。シリーズ・チャンピオンを狙う萩原と和田、とくにヤング・タイガー萩原は、猛烈なファイトをみなぎらせていた。それというのもドライバー・チャンプだけでなくチューニングショップのチャンプ争いも同時に決定することになる。そこで、同じアドバンのチームメイトとはいえ、チューナーは和田が土屋、萩原が東名と異なるためにいっそう激しさを加えるのである。しかも、チューニングショップのポイントでも、両者は1ポイント差であり、きわめてシビアな状況におかれていたわけである。毎回、手に汗握る激しいバトルを展開し、多くのギャラリーをうならせてきたこのマイナーツーリング・チャンピオン・レースも今回が最終戦であり、12年間もの長期に渡って主役を演じ続けてきたKB110サニーにとっては最後のMTレースということになる。それだからこそ、サニー使いの職人たちも全力を傾注してレースに臨むことになったわけである。
   トップコンテンダー3者のつまづき
選手紹介が終わり、フォーメーション・ラップのスタートが切られたのは12時30分。ここでスタートできずにピットへ押し戻されたのは越野照喜のザックスピード・カラーに美しくペイントされたサニーだった。これで越野は自動的にピット・スタートとなるとともにシリーズ・チャンプの夢も同時に消え去ったのだ。なんとも惜しい結果である。越野はスズカをホームグラウンドとして活躍するベテランで、今シーズンはマイナー・ツーリングにも全戦出場。常時トップコンテンダーとして渡り合い、シリーズポイントも29点でチャンプ争いに加わっていただけに残念な結果となった。しかし、全日本選手権TS部門では95ポイントをあげて現在トップ。
1周のフォーメーション・ラップを終了してグリッドには22台のマシンが整然と並ぶ。赤シグナルが点灯して轟音が一段と高まり、グリーンランプに変わって各車一斉にスタート。ポールの渋谷栄治を頭に第1コーナーへなだれを打つ。スタートで出遅れたのはなんとエンケイつちやサニーの杉崎直司だった。白、赤、緑のエンケイ・カラーのつちやサニーはベテラン直司のドライブで毎回ファイト満ちあふれた走りを堪能させてくれる。これでトップ・グループのマシン2台が早くも戦列を去るという異例なレースとなった。さらに前日の予選をエンジン不調でクリアできなかったトップコンテンダーに相葉文男がいた。当然、スターティング・グリッドは最後尾。いかに追い上げるかが注目された。いずれにしてもサニー使いのベテラン3者が不本意なレースの臨み方になったことは事実で、逆にいえば、順当なポジションを得たトップ・グループはそれだけ楽なレース運びができることになったわけである。 とはいっても、役者揃いのこのレースでは、絶対にひとすじ縄ではいかないことは明らかだった。
オープニングラップのヘアピンには渋谷−萩原−大場−武藤−都平−和田−のオーダーでやってきた。そして1周めのストレートでは渋谷−萩原−大場−武藤−都平−和田が一団となって駆け抜ける。佐藤はフライングのペナルティーをとられてピットインが命ぜられた。2周めの第1コーナー手前で萩原を大場のシビックが捕らえて2番手に浮上。トップをいく渋谷を猛走した。だが、東名チューンの渋谷のサニーは絶好調で、1分32秒という速いペースでぐんぐん飛ばす。パワフルな大場のシビックもこの速さには一瞬の気のゆるみも許されない状況で、全開でこれを追った。全車2周を走り終えたところで越野がピット・スタート。今度はクリーンなエンジン音をとどろかせて戦列に加わった。早くもピットにすべり込んできたのは佐藤、ペナルティでのピットインだから即再スタートしていったが、今富はエンジン不調でピットに張りついた。4周めにはスタートで出遅れた杉崎がピットイン。原因はクラッチワイヤー切れでかなり修理に時間を要することになった。トップをいく渋谷と大場が、後続グループに明確な差をつけ始めたのは4周め、3番手争いが都平、武藤、和田、萩原、の4車によって激しい展開をみせる。毎周、順位を入れ替えるいつものバトルだ。この集団のあとに下田次郎、森谷幸雄、伊藤清彦、江蔵智らがセカンド・グループを形成する。6周めに大場が渋谷をかわすが、長くは続かず11周めに渋谷、その後もこの2者は互いにリードし合いながら3番手を争う後続車に5秒から6秒と大きく水を開けていった。
         直司はさすがに役者だった
むしろ、3番手争いが最も激しい攻防を展開。シリーズ・チャンプを賭けて渡り合う萩原十和田のバトルは最高潮に達していた。とちらか先にゴールした方がチャンプを手中に収めることができるため、両者とも最終ラップに全てを賭けることはいうまでもなく、それまでのラップは極端な表現をすれば、単なる消化することだけのラップでもあるわけだ。ところが、である。4周めにピットインしてクラッチのワイヤー切れを修理していた杉崎が、レースも残すところ6周になった14周めに、和田と萩原らの3位争いを展開するグループへしっかりと会わせたように
入り込んでいったのである。巧者杉崎は、トップ2車、すなわち大場と渋谷に勝とも劣らないスピードで周回を始め、3位争いのまっただ中に潜入していったのである。これはつちやメイトとしての友情の現れ・・・・・。そして19周めのストレートでは渋谷−大場−和田−萩原−武藤−都平−相葉で通過し、最終ラップの第1コーナーでは萩原と和田を先行させ、ヘアピンへは渋谷−大場−萩原−和田−杉崎−都平−武藤−相葉の順でやってきた。そして、ヘアピンを立ち上がり、300Rへと姿を消した。最終コーナーを真先に立ち上がってきたのは大場だった。渋谷は大場の背後に迫るが、ついにかわすことはできずに、2位でゴール。4秒ほどおいて、萩原のスリップから抜け出してハナの差で和田が3位入賞を決めた。
これで82シリーズ・チャンプは和田が獲得し、和田にとっては初めてであり、また最後のマイナー・ツーリングチャンピオンということになった。

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